教授挨拶

外科学講座 教授

佐々木 章(ささき あきら)

 

 外科学講座の診療領域は広く、上部消化管、下部消化管、肝胆膵、乳腺、小児外科チームから
編成されています。2016年の手術件数は1,176件(全麻手術 1,080件)であり、
手術は可能な限り低侵襲な内視鏡外科手術を選択しています。フルビデオで審査を行っている、
日本内視鏡外科学会技術認定医制度の2015年度合格率は28%と厳しいですが、当教室では
現在までに23名を輩出しており、大学内には各診療領域の技術認定医8名が常勤しています。
主要疾患に対する胸腔鏡・腹腔鏡(補助)下手術の比率は、胆嚢良性疾患100%、内分泌代謝
疾患(高度肥満症、副腎、甲状腺)100%、大腸癌95%、胃癌71%、肝癌60%、食道癌
50%であり、技術と安全性においては国内外から高い評価を受けています。低侵襲治療を行う
一方で、高難度手術や集学的治療にも積極的に取り組んでおり、2016年までに肝移植(生体
72例、脳死 9例)を施行しています。また、高度救命救急センターや心臓血管外科との連携
体制により外科専門医に必要な修練も十分に経験できる環境も整っており、診療では自らの専門
分野以外でも対応でき、患者の全身を診ることができる外科医の育成を目指しています。臓器別
チームの他にも、研究チームとして分子治療研究班が抗癌剤の効果判定・予測診断や術後再発の
早期発見に向けたバイオマーカーの同定に取り組んでいます。他診療科の多職種と連携しながら
横断的研究を行っており基礎・臨床研究で学位指導が可能です。また、岩手医科大学医学研究科
博士課程では、臨床研修医、社会人の方も社会人大学生として入学できるシステムがあり、研修
しながら、働きながら学位の取得ができます。

 2017年4月20日に岩手医科大学は創立から120周年を迎え、本学にとって記念すべき
節目の年となります。創立120周年記念事業として2017年4月には看護学部が新設され、
2019年9月には矢巾新附属病院(地上11階、延べ面積 約86,000㎡)の開院が予定
されており、医・歯・薬・看護の4学部からなる医療系総合大学となります。外科学の進歩や、
医療を取巻く環境と社会情勢の変化に迅速に対応できるような外科医の育成に努め、将来種々の
領域・地域において、外科学の発展に貢献できればと思います。また、新外科専門医制度が開始
される予定ですが、研修プログラムを充実させ、研修医と教室員の意向に沿ったテーラーメイド
教育を考えています。手術のみならず、外科学に興味を持った仲間が多く集まってくれることを
願っています。日本内視鏡外科学会技術認定医、肝胆膵外科高度技術専門医、食道外科専門医、
小児外科専門医取得のための見学や短期留学も歓迎いたしますので、気軽にご相談して下さい。