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第47回日本外科系連合学会学術集会の中のWada Award Sessionにおいて、当科の熊谷秀基先生がGold Prize、菊地晃司先生がSilver Prizeを受賞しました

受賞コメント

熊谷秀基先生

この度、2022年6月15日~6月17日開催された第47回日本外科系連合学会学術集会のWada Award Session(環太平洋外科系学会日本支部会・日本外科系連合学会ジョイントセッション)で、Gold Prizeを受賞することができました。今回の日本外科系連合学会学術集会は、当教室の佐々木章教授が会長を務められた記念すべき学会であり、そのような場でWada Awardを受賞できたことを大変嬉しく思います。受賞にあたり、テーマを与えて下さり、スライド作成、発表のご指導を頂いた佐々木章教授、梅邑晃講師には、この場をお借りして心よりお礼を申し上げます。

さて、今回は「Laparoscopic sleeve gastrectomy impacts on respiratory system in obese patients」というテーマで、発表させて頂きました。肥満症患者において、呼吸困難は一般的な症状です。また、スパイロメトリーにおいて、ERV(expiratory reserve volume)、FRC(functional residual capacity)が健常人と比較して減少することはこれまでにも報告されています。そこで、今回われわれは、高度肥満症患者における腹腔鏡下スリーブ状胃切除術後の呼吸機能の変化をスパイロメトリー、CTボリューメトリーを使用して明らかにし、その内容を発表させて頂きました。スパイロメトリーでは、術後にVC(vital capacity)、ERV、FRCが有意に増加し、CTボリューメトリーでは、術後に肺および気道容積が有意に増加しました。また、FRCと肺・気道容積の変化には統計学的な相関もみられ、CTボリューメトリーが腹腔鏡下スリーブ状胃切除術後の呼吸機能改善効果を評価する新しいツールになり得ることを示すことができたと考えております。

学会発表自体はこれまでにも経験はありましたが、英語でのプレゼンテーションは初めての経験でした。発表に際しては、英語を話すことに集中して内容を伝えることが疎かにならないようプレゼンテーションの内容は暗記し、事前に何度も音読してのぞみました。また、本番はできるだけパソコンの画面を見ずに聴講して頂いている参加者の皆さんを見て話すことを心がけました。発表5分、質疑応答4分という質疑応答に力が入れられたセッションではありましたが、無事発表を終えることができ、安堵とともに達成感のある生涯忘れることのできない学会発表となりました。

腹腔鏡下スリーブ状胃切除術は、2014年4月に日本で保険収載され、国内での手術件数も年々増加してきております。腹腔鏡下スリーブ状胃切除術を含む減量・代謝改善手術は、今後ますます発展していく分野と考えます。今後も佐々木章教授、梅邑晃講師、内視鏡外科チームの皆様にご指導賜りながら、減量・代謝改善手術の発展に寄与するような研究成果の発信を目標に、さらなる研究活動に取り組んでいきたいと考えております。

菊地晃司先生

この度、第47回日本外科系連合学会学術集会(令和4年6月15日~17日:盛岡市)における環太平洋外科系学会日本支部会 Wada Award SessionにてWada Awardという大変名誉ある賞を「Mobilization of Multilineage-Differentiating Stress-Enduring Cells into the peripheral blood in Liver Surgery」の演題で受賞しました。

環太平洋外科系学会日本支部会は、世界で認められ活躍できる医師の育成を目指して、学会で英語発表に積極的に取り組んで欲しいという思いから、1983年に故和田壽郎氏により設立された会です。2020年第36回環太平洋外科系学会日本支部学術大会が新型コロナウイルス感染症の影響で中止となり、私自身は今回が初めての英語発表でした。日本語の発表とは比べものにならない緊張と不安があり、特に質疑応答では質問の意図が理解できない、質問は理解できても自分の言いたいことを英語で表現できないとういう英語力のなさに直面しました。今後英語で発表する機会が増えてくることを考えると、英語力を伸ばす様な訓練を日々行わなければいけないと実感しております。

Muse細胞は自発的に3胚葉性に分化する能力や自己複製能力を有する多能性幹細胞で、腫瘍性を持たない細胞と言われています。また、最大の特徴としてMuse細胞を回収してそのまま静脈へ投与するだけで損傷組織へホーミング・生着し組織特異的な細胞へ分化することが挙げられます。これらの特徴からMuse細胞の幹細胞移植治療による組織修復や機能回復が期待され、様々な研究が行われています。肝臓分野においては、片桐弘勝先生が行った先行研究にて肝切除を行った免疫不全マウスにGFPラベルされたMuse細胞を移植すると、肝組織修復過程で肝外由来のMuse細胞が損傷部位に誘導され分化を遂げることを報告しておりました。本研究は、ヒト肝臓手術におけるMuse細胞動態を明らかにし、Muse細胞と侵襲度および肝再生との関連について検証したものです。本研究の結果から、Muse細胞は肝切除容積、肝組織障害の程度に応じて動員される可能性があること、合併症による組織障害でMuse細胞が動員される可能性がある事が判明しました。また末梢血中のMuse細胞上昇が術後の肝容積回復に関係している可能性があり、肝再生に寄与していることが示唆されました。

本研究は今後のMuse細胞研究並びに肝臓の再生医療領域の発展に寄与するものと期待しております。自分が行っていた研究において、学会発表でこのような賞を受賞できたことをとても嬉しく思います。この場において、研究に時間を割かなければならず、臨床面で多くのご迷惑をおかけした肝胆膵チーム、指導医の片桐弘勝先生、研究指導頂いた消化器内科肝臓分野の鈴木悠地先生、このような貴重な機会を与えて下さった佐々木章教授、新田浩幸教授に心より感謝申し上げます。

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