岩手医科大学医学部 外科学講座

ヘルニア診療について

岩手医科大学病院の外観

岩手医科大学外科学講座では、ヘルニア診療において先進的な手術手技、安全かつ患者様の治療を完遂するまで継続的に診させて頂くことをモットーに診療を行っております。あらゆるヘルニアの患者様に対して、適切な治療を提供させて頂きます。

鼠径ヘルニア

鼠径ヘルニアとは

鼠径ヘルニアは、両脚の付け根の鼠径部の筋肉の薄いところから腹腔内臓器が押し出されて皮下まで飛び出す病気です。ヘルニアは「飛び出す」病気全般に使われる用語ですが、腹部疾患でいう場合には「脱腸」と和訳されます。あらゆる脱腸で嵌頓という症状が起こりえます、嵌頓は脱出した腹腔内臓器をお腹の中へ押し込むことが出来なくなる病態で緊急手術が必要となります。当科で手術を予定される患者様、また初診の患者様であってもこのような場合にはすぐに対応させて頂きます。最も重要な事項ですので、病気や手術法の説明に先立って強調させて頂きます。嵌頓への対応は鼠経ヘルニアに限らず、以下にお示しするようなあらゆるヘルニア嵌頓に対して応需致します。

鼠径ヘルニアの種類

鼠径ヘルニアは、日本ヘルニア学会から示されているヘルニア分類によって定義されます。診察時の所見や画像検査から診断が可能な場合も多いですが、2つ以上のヘルニアが合併していたり、両側のヘルニアが存在することもあります。また、手術時に初めて確認されるヘルニアを認めることもあります。

日本ヘルニア学会が提唱する新JHS分類は学会HPからご覧ください。

鼠径ヘルニアの種類

鼠径ヘルニアとは

鼠径ヘルニアは、両脚の付け根の鼠径部の筋肉の薄いところから腹腔内臓器が押し出されて皮下まで飛び出す病気です。ヘルニアは「飛び出す」病気全般に使われる用語ですが、腹部疾患でいう場合には「脱腸」と和訳されます。あらゆる脱腸で嵌頓という症状が起こりえます、嵌頓は脱出した腹腔内臓器をお腹の中へ押し込むことが出来なくなる病態で緊急手術が必要となります。当科で手術を予定される患者様、また初診の患者様であってもこのような場合にはすぐに対応させて頂きます。最も重要な事項ですので、病気や手術法の説明に先立って強調させて頂きます。嵌頓への対応は鼠経ヘルニアに限らず、以下にお示しするようなあらゆるヘルニア嵌頓に対して応需致します。

TAPP法(腹腔内到達法)

最も頻用している術式です、初発で全身麻酔が問題なく行える患者様の第一選択として行っています。2026年6月からロボット支援下手術でも可能となりますので、通常の腹腔鏡でのTAPP法と合わせて提示させて頂きます。本術式では、手術支援ロボットとしてHugoとda Vinci Xiを使用して行います。

Hugo

Hugoについては以下のHPをご参照下さい。

Da Vinci Xi

Da Vinci Xiについては以下のHPをご参照下さい。

TAPP法の実際の手術手技について

腹膜切開・剥離

腹膜切開・剥離

メッシュ留置

メッシュ留置

腹膜閉鎖

腹膜閉鎖

臍から腹腔鏡を挿入し、左右側腹部より1カ所ずつ5mm程度の傷から手術を行います。ヘルニア門(脱腸が起きている穴の入口)周囲の腹膜を切開・剥離し、穴に蓋するようにメッシュを留置してヘルニアを修復します。切開した腹膜はそのままにすると、その部位でヘルニアを起こしうるので、腹膜は縫い閉じます。
最後に傷を縫って手術を終了します。手術時間は1時間半程度、出血量はごく少量です。

術後の神経痛や慢性痛のリスクを回避するために、メッシュを固定するためのタッカー(固定器具)や縫合が不要となるプログリップメッシュの使用を第一選択とし、より安全な手術を実践しています。

鼠径部切開法

鼠径部を4-5cmほど切開して行う方法です。腸管切除を要する非還納性鼠径ヘルニアについてはこのアプローチで行います。通常の鼠経ヘルニア手術全般としては、メッシュという人工物を補強材として使用しますが、腸管切除を行った場合には組織修復法を行います。通常の予定手術で鼠径部切開法を選択する場合は、再発や先に挙げた病気で手術をしている方でTAPP法が困難な患者様にご提示させて頂きます。また、全身麻酔を施行せずに手術が行えるため耐術能が懸念される高齢、心肺機能や全身疾患の患者様にも適応としております。当科では、Kugel法を第一選択としていますが、様々な修復法をご提案できるように努めております。

当科で行っている局所麻酔によるKugel法について以下をご覧ください。

局所麻酔の工夫
局所麻酔による液性剥離
静脈麻酔の併用
麻酔法の実際
当教室の標準術式:Kugel法

大腿ヘルニアに対する修復術

大腿ヘルニアは鼠経ヘルニアと合わせて鼠径部ヘルニアと呼称されます。当科で行っている術式では、鼠径ヘルニア修復時に同時に大腿ヘルニアの出口となる大腿輪も閉鎖されます。一方で、大腿ヘルニアは嵌頓しやすく腸閉塞を起こした状態で受診される患者様もいらっしゃいますので状況に応じた対応が必要です。待機手術が可能であればTAPP法で修復しています。

大腿ヘルニアに対する修復術
大腿ヘルニアに対する修復術

閉鎖孔ヘルニアに対する修復術

足を動かす神経のひ1つである閉鎖神経が通る閉鎖孔(穴)にヘルニアが起こるものを閉鎖孔ヘルニアと呼びます。
鼠径ヘルニアや大腿ヘルニアと同様の術式でTAPP法を第一選択としています。メッシュで閉鎖孔以外のヘルニアを起こしうる部分も含めて修復を行うことが勧められますが、痩せ型の高齢女性に発症しやすく、極力体の負担を軽減するために、閉鎖孔のみメッシュプラグ(栓)で修復することもあります。その際は手術時間が30分程度と短時間で実施することも可能です。必要最小限の修復に留めることで、御高齢の患者様にとってはより低侵襲かつ安全に実施可能と考えています。

TAPP法の実際の手術手技について

腹膜切開・剥離

腹膜切開・剥離

メッシュ留置

メッシュ留置

腹膜閉鎖

腹膜閉鎖

臍から腹腔鏡を挿入し、左右側腹部より1カ所ずつ5mm程度の傷から手術を行います。ヘルニア門(脱腸が起きている穴の入口)周囲の腹膜を切開・剥離し、穴に蓋するようにメッシュを留置してヘルニアを修復します。切開した腹膜はそのままにすると、その部位でヘルニアを起こしうるので、腹膜は縫い閉じます。
最後に傷を縫って手術を終了します。手術時間は1時間半程度、出血量はごく少量です。

術後の神経痛や慢性痛のリスクを回避するために、メッシュを固定するためのタッカー(固定器具)や縫合が不要となるプログリップメッシュの使用を第一選択とし、より安全な手術を実践しています。

腹壁(瘢痕)ヘルニア

腹壁(瘢痕)ヘルニアとは

腹壁(瘢痕)ヘルニアは、腹部から背中にかけて腹壁を囲む筋肉の脆弱部が破綻して起こるヘルニアです。特に、手術後の創部の腹壁が離開して起こるヘルニアを腹壁瘢痕ヘルニアと呼びます。これらのヘルニアに対して、当科では腹腔内メッシュ留置を行うIPOM-plus法と腹壁外メッシュ留置を行うeTEP法を行っています。

腹壁ヘルニアの種類

腹壁ヘルニアは、腹壁の脆弱部に発生するヘルニアで臍ヘルニアがその頻度として最も多いです。その他にも白線ヘルニア、弓状線ヘルニアや腰ヘルニアなどがあります。それぞれの腹壁ヘルニアについて適切な修復法を提示させて頂きます。

腹壁瘢痕ヘルニアの分類

腹壁瘢痕ヘルニアは、前回手術の創部の大きさと場所によって分類されます。大きいヘルニア、上腹部と下腹部のヘルニア、そして側腹部まで至る腹壁瘢痕ヘルニアは手術難易度が高くなります。また、腹壁瘢痕ヘルニアの場合には腹腔内臓器癒着が想定されるため、腸管損傷などにも十分な注意を払いながら手術を行う必要があります。

腹壁(瘢痕)ヘルニアのEHS分類は以下からご覧下さい(英語)。

EHS右矢印
腹壁(瘢痕)ヘルニアのEHS分類

eTEP法

本術式は近年海外、国内含めて腹壁(瘢痕)ヘルニアに対して行われている術式です。大きなヘルニアに対しても痛みが少なく、社会復帰も早くできるため患者様にメリットが大きい術式ですが、高難度の手術になることもありますので実施できる施設は限られています。当科では、eTEP法を患者様のヘルニアの病状に応じて適切に選択して御提示させて頂きます。

eTEP法
eTEP法
eTEP法
eTEP法

IPOM法・IPOM plus法

従来から行われている腹壁(瘢痕)ヘルニアに対する術式です。開腹または腹腔鏡手術で、ヘルニア門(ヘルニアを形成する筋肉の欠損部)をメッシュで覆うものがIPOM法です。これに加えてヘルニア門を縫合するものがIPOM plus法になります。IPOM plus法はIPOM法と比較し水腫などが減少し、腹壁の機能改善にも優れます。ただし、メッシュの固定に使うタッカー(釘)や欠損部の縫合閉鎖により術後の疼痛が強いことがあります。

IPOM法・IPOM plus法

IPOM法

IPOM法・IPOM plus法

IPOM plus法

Hybrid IPOM plus法

IPOM法・IPOM plus法では、開腹または腹腔鏡手術のどちらか一方を選択して行いますが、Hybrid IPOM plus法は開腹手術と腹腔鏡手術を組み合わせて行います。これにより、開腹手術の「欠損部の縫合を確実に行える」利点と腹腔鏡手術の「メッシュ固定が容易かつメッシュ留置後の状態を確認できる」利点のどちらも生かす術式となっています。

ヘルニア直上に小切開を加え、ヘルニア嚢を露出

ヘルニア直上に小切開を加え、ヘルニア嚢を露出

ヘルニア嚢を切除。ヘルニア門の辺縁を全周性に露出

ヘルニア嚢を切除。ヘルニア門の辺縁を全周性に露出

ヘルニア門を非吸収糸で縫合

ヘルニア門を非吸収糸で縫合

腹腔鏡下にメッシュをタッカーで固定

腹腔鏡下にメッシュをタッカーで固定

傍ストーマヘルニア

傍ストーマヘルニアは、ストーマ造設後に起こるヘルニアであり大きさと腹壁瘢痕ヘルニアの合併によって分類されます。当科では、下記に示すKeyhole法とSugarbaker法を組み合わせたSandwich法にヘルニア門閉鎖を加えた方法を採用しています。ただし、傍ストーマヘルニアの本当の治療はストーマ閉鎖が可能であればストーマを戻す手術を行うことです。

傍ストーマヘルニアのEHS分類
Keyholr technique
Sugarbaker technique
複雑なメッシュ修復後の癒着防止

その他のヘルニア、再発や外科治療についてのご相談

あらゆるヘルニアについての治療にお悩みがある患者様のご相談、外科治療の提示などについて専門外来を毎週火曜日、水曜日に行っております。詳しくは、岩手医科大学附属病院外科外来もしくは当科へご連絡下さい。